サイコパシー（精神病質）となる原因は何か？

遺伝的なバリエーションが脳の発達に影響し、サイコパシーを発症するリスクが生まれつき高い子どもはいるものの、親の役割は重要です。特定の治療テクニックを学び、リスクの高い子供たちに適用することで、自分の子どもがサイコパシーを発症する確率を減らすことができます。これらは直感的に実施できる療法ではないため、通常、親はトレーニングを受ける必要があります。

親はサイコパシーを含め、子どもの精神障害に罪悪感を感じることが多いものです。また、子どもの障害に対して、精神科医も含めた他の人々から、親（特に母親） が責められることは頻繁にあります。何十年もの間、精神科医や心理学者は自閉症や統合失調症などといった障害をそれぞれ「冷蔵庫マザー」や「統合失調症の母親」に責任を負わせていたのです！しかし、自閉症や統合失調症に関する科学的な研究を積み重ねていくに連れて、こうした複雑な発達障害の原因が具体的な育て方によるものではないことが解明されました。

同様に、サイコパシーにおいても、特定の子育ての仕方が原因ではないことが研究で明らかになりました。サイコパス気質の子どもがいる殆どの家庭には、サイコパス気質ではない子どももいます。科学的な研究から、包容力や反応力のある育て方は、高リスクの子供がサイコパシーを発症させる確率を減らす可能性があると示唆しているものの、包容力や反応力の高い親に育てられても、サイコパス気質の子どもや大人は多く存在するのも事実です。

ここで親、先生や臨床医が理解すべき大事な点は、たとえ子供にサイコパス気質の兆候が見られたとしても、それは親が冷淡で反応が薄かったからだと想定できないことです。残念ながら、子供がサイコパス気質を示した場合に、未だに親が責められることが多いのが実情です。

「包容力と反応力のある」親になるとは、どういう意味でしょうか？

包容力のある育て方とは、表情、声、身体を使って子供にポジティブな感情を表すことです。包容力のある親の行為として、笑顔を見せる、優しい声のトーンで話す、ポジティブな触れ合い（例えば、腕を優しく触る、抱きしめる、ハイタッチする）などがあります。反応力のある育て方としては、子供のニーズや感情に適切に反応することを意味します。反応力のある親の行為の例としては、表情や声を通じて気にかけている様子を表現する、子どもの悩みに注意深く耳を傾ける、質問をする、子供が落ち込んでいたら抱き締めてあげることなどが挙げられます。

サイコパス気質のある子どもは、他の子どもに比べて、ポジティブな社会的および感情的なシグナルに対する感受性が弱いと想定する研究もあります。そこで、こうした気質の子どもであれば、通常の親が表す以上に、極端なくらいポジティブな感情表現で親が接することが、子どもには効果的かもしれません。

親はサイコパシーのリスクを抱える子どもをどう助けたら良いでしょうか？

子どもの症状を改善するために、親は特定の行動療法を用いるトレーニングを受けることができます。こうした療法は直感的な接し方ではないこともあります。実際、対象の子どもたちが望むことと反対の対応の仕方であることも多いようです。それでも、こうした親向けの具体的な治療テクニックを活用することで、応用行動分析（ABA）療法が自閉症スペクトラム障害の子供の行動や関係を改善できるのと同様に、サイコパス気質の子どもの行動や関係も改善することができます。

サイコパス気質の子どもを持つ親が、効果的な療法を学ぶことが大切な理由のひとつに、子供のサイコパス気質がきっかけで、親の子供に対する行動が徐々に不適応な方向へ進んでしまうことがあるからです。例えば、サイコパス気質の子供の中には、愛情行為に抵抗を表すことがあります。子供が嫌がっていると思って、親は言葉や行動での愛情表現を控える傾向になるかもしれません。しかし、サイコパシーのリスクを抱えた子どもは、実は他の子ども以上に言葉や行動での愛情を必要としているかもしれません。

サイコパス気質を持った子どもを持つ親であったとしたら、子どもの年齢に関わらず、ひとりで悩まないでください。「Physchopathy Is (サイコパシー‧イズ)」を制作した研究者や臨床医はあなたのような親に対して、とても理解がある人たちばかりです。サイコパシーに関する研究や教育を深める支援をしたいと思う親たちの同盟グループを作ることに取り組んでいます。